英語にだって敬語はある!まずはcanとwillを身につけよう

0
3265

皆さん、英語に敬語はない!と思っていませんか?
学校で習ったはずなのに、案外出てこない英語の丁寧な表現。
日本語との違いを比べてみることで、人間関係のカタチの違いや共通点が見えてきたりするのです。

日本語での敬語

・まず自分や相手を指す代名詞が変化!(俺→わたくし)
・動詞の形も原型を留めないほど変わる!(来る→来ます→お越しになる・いらっしゃる→参る)
・語尾にも気を遣う!

尊敬語・謙譲語・丁寧語と三種類もの敬語が存在するむずかし~い日本語。
動詞の形が変わる、同じ言葉でも発音が変わってしまうこともある(くる、きます)というような複雑さは英語にはありません。何かを頼むときだけ気をつければ大丈夫。

英語での敬語

・とにかくcanとwillを使いこなせればあなたも敬語マスター!

これはもう、難しい話よりも例文をあげたほうがわかりやすいですね。
上から下に向かってどんどん丁寧になっていきます。

・Come!(来て!)
・Can you come?(来れる?)
・Will you come?(来てくれる?)
・Can you please come?(来てもらえますか?)
・Will you please come?(来てくれますか?)
・Could you come?(来ていただけますか?)
・Would you come?(〃)
・Could you please come?(ぜひ来ていただけませんか?)
・Would you please come?(〃)
・Do you mind to come?(来ていただいてもかまいませんか?)
・Would you mind to come?(来ていただいてもよろしいでしょうか?)
・Could you possibly come?(なんとか来ていただけますでしょうか?)

こんな感じ。
可能かどうかを尋ねる形のcanより、相手の意思を尋ねる形のwillの方がちょっと丁寧なイメージかなぁと思いますが、基本的には違う言葉なので、場合によっては全くの的外れになることもあります。
たとえばプロポーズの決まり文句、
“Will(Would) you marry me?”「自分と結婚してくれるという意思がありますか?」
これを”Can(Could) you marry me?”にしてしまうと、「自分と結婚することは物理的に可能でしょうか?」というニュアンスになってしまいますね。
“I could, but I wouldn’t.”「できるけど、したくない」という返答ができてしまいます。(笑)

なんで過去形にするの?

最初に”Would you~?”と聞かれたとき、わたしは相手が何を聞きたいのかよくわからず、辞書を取り出してwouldを引き、「そのwouldは何?このうちのドレ?」と例文を全部見せて友達を困らせました。
そのうち「あー、これは丁寧語なんだな」と理解しましたが謎だったのは「なんで過去形にするとより丁寧になるの??」ということ。

日本語では自分を下げることで相手を上げる、相手によって言葉の形を使い分けるなど距離感で丁寧さを演出しますが、英語では頼みごとのレベル調整によって丁寧さを演出します。
「過去形にするほどありえないこと」をお願いしたいのですが、いかがでしょうか?という感じですね。”I wish I were a bird.”なんてフレーズ、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

色々な敬語表現

とりあえずCanとWillを使いこなせるようになればOK!と書きましたが、もちろん他の表現の仕方もあります。
・I wonder if you could come.(来ていただけたらなぁと思っているのですが・・・)
・I really appreciate if you come.(来ていただけると大変ありがたいのですが・・・)

英語では基本的に頼みごと以外で「ザ・敬語!」というわかりやすい丁寧語は使いませんが、同じアメリカ国内でも地域によっては目上の人への返事に”Yes, sir.””No, ma’am.”などsirとma’amをつけるところもあります。
南部のように保守的な地域ではこれをつけるのが当たり前ですが、西海岸のリベラルな地域でいちいち返事にsirとma’amをつけていたら「そんなの、いちいちつけなくていいよ」と言われたり・・・。

英語には尊敬語・謙譲語がない?

ここまでご紹介したのはすべて、日本語で言う丁寧語に分類される表現だと思いますが、それでは尊敬語や謙譲語はないのか?と聞かれると・・・う~ん。文法的には「ない」が正解なのでしょうか。
でもアメリカ人ってすごく相手を褒めるんですよね。特に身内。
日本では逆に、身内を下げて他人を上げる傾向にあると思うのですが、アメリカ人の家族に対する表現ってまさに尊敬・謙譲なんです。
“I’m so proud of you.” “I am so blessed to be your mother.” “Thanks for making my world so wonderful!” “I feel so lucky to have you.” “Just be the way you are because you are perfect!” etc…
挙げればキリがないほどの、「あなたのおかげで自分は幸せです」というメッセージを日常的に送りあう彼らのマインドは、尊敬と謙譲に満ちていると思うのです。

最後にわたしの大好きな英語表現をご紹介。
“my better half”
これは配偶者をさす言葉なのですが、「わたしたちはふたりでひとつ、半分こにした良い方があなた」ということ。なんだか和訳するとあまりロマンチックじゃないけれど(笑)、これって究極の謙譲ですよね!
そしてこんなロマンチックな謙譲で配偶者を表現できる英語って素敵だなぁと思うのです。

おまけ。

“Would you~?”と頼まれたときのOKの返事は”Yes!”「いいよ!」ですが、
“Would(Do) you mind~?”と聞かれたときは、「~するのは嫌でしょうか?」という意味なので間違ってもYes!!と答えてはいけません(笑)「うん、ヤダ!」ということになってしまいます。
快く“No, I wouldn’t(don’t)!”と答えてあげましょう^^

そして書いていて気付きましたが、「来ていただけたらなぁと思っているのですが」「できたら~してくれる?」って過去形に近いですね!日本語でも知らないうちに同じような言葉を使っていました。(笑)
母国語を話すときに文法をいちいち意識することはないけれど、文法から入ってしまった言語だと「なんで?どうして?」と気になるものですね~。